「ランディングページを作ったのに思うような成果が出ない」「離脱率が高くてコンバージョンにつながらない」こうした悩みを抱えているUI/UX改善プロジェクトの担当者の方は多いのではないでしょうか。実際に、適切な最適化が行われていないランディングページでは、訪問者の90%以上が何も行動を起こさずに離脱してしまうケースが珍しくありません。そこで重要になるのが、LPO(ランディングページ最適化)の専門知識を持つコンサルティング会社の活用です。本記事では、LPOの基礎知識から失敗しない会社選びのポイント、そして目的別のおすすめ企業まで、UI/UX改善を成功に導くために必要な情報を包括的にお伝えします。 1.なぜLPOが重要なのか? 1-1.UI/UX改善におけるLPOの役割 LPO(Landing Page Optimization)は、ランディングページの最適化を指し、コンバージョン率を向上させることを目的とした施策です。UI/UX改善においてLPOが重要な役割を果たすのは、ユーザーの行動データに基づいた科学的なアプローチでページを改善できる点にあります。 従来のWebサイト改善では、デザイナーやディレクターの経験や直感に頼った改善が多く行われていました。しかし、LPOではヒートマップ分析*¹、A/Bテスト*²、ユーザー行動解析*³などのデータを活用し、実際のユーザーの行動パターンを可視化します。これにより、「なんとなくデザインを変更する」のではなく、「データに基づいた改善施策を実行する」ことが可能になります。 また、LPOはパソコンよりもスマートフォンが主流の時代となった今では特に重要性を増しています。スマートフォンでの閲覧が主流となった現在、タッチ操作に適したボタン配置、読みやすいフォントサイズ、直感的なナビゲーションなど、デバイス特性を考慮した最適化が不可欠です。 ※1:ヒートマップ分析とは、Webサイトやアプリにおけるユーザーの行動を、色や濃淡で可視化する分析手法です。ユーザーの注目度が高い部分は赤や黄色などの暖色系で、低い部分は青や緑などの寒色系で表示されます。これにより、ユーザーがどこに注目しているか、どこをクリックしているか、どこまでスクロールしているかなどを直感的に理解することができます。 ※2: A/Bテストとは、Webサイトや広告などのデザインやコンテンツの2つ以上のバージョンを同時に公開し、どちらがより効果的かを検証する手法です。 ※3:ユーザー行動解析とは、Webサイトやアプリ上でのユーザーの行動データを収集・分析し、その結果を改善に役立てる手法です。具体的には、ユーザーがどのようなページを閲覧し、どのような操作を行ったかを把握することで、顧客体験の向上やコンバージョン率の改善を目指します。 関連記事:ゼロからわかるLPOの進め方関連記事:「ABテストは意味がない」と言われる理由と成功パターンを徹底解説1-2.離脱率・CVRの改善に直結する理由 LPOが離脱率やCVR(コンバージョン率)*⁴の改善に直結する理由は、ユーザーの行動心理とページ構造の最適化にあります。業界平均データを見ると、一般的なランディングページのCVRは2〜3%程度とされています。つまり、100人の訪問者のうち97〜98人は何も行動を起こさずに離脱しているのが現実です。 業界CVRの平均値外食・デリバリー9.8%メディア・娯楽7.9%金融・保険6.2%教育5.8%フィットネス・健康5.6%法律5.4%EC5.2%イベント・レジャー5.2%旅行4.8%家の修繕・リフォーム3.8%医療サービス3.6%企業向けサービス3.5%家庭向けサービスサービス(ベビーシッターなど)3.4%SaaS3.0%不動産2.6%代理店2.4%出典元: https://kaizenplatform.com/contents/conversion-rate https://unbounce.com/conversion-benchmark-report/ LPOによる改善効果が高い理由の一つは、ファーストビュー*⁵の最適化です。ユーザーがページに到達してから3秒以内に離脱するかどうかを判断するため、この短時間でユーザーの興味を引きつけ、ページの価値を伝える必要があります。ヘッドライン*⁶の見直し、アイキャッチ画像の変更、価値提案の明確化などにより、初期離脱率を大幅に改善できます。 さらに、EFO*⁷(フォーム最適化)も重要な要素です。入力項目数の削減、エラーメッセージの改善、入力支援機能の追加などにより、フォーム完了率を向上させることができます。実際に、入力項目を5つから3つに減らしただけでCVRが40%向上した事例も報告されています。 ※4: CVRとは、Conversion Rate(コンバージョン率)の略で、Webサイトへの訪問者のうち、どれくらいの割合が目標とする成果(コンバージョン)に至ったかを示す指標です。例えば、ECサイトであれば商品購入、お問い合わせフォームがあるサイトであれば、お問い合わせ完了などがコンバージョンに該当します。 ※5:ファーストビューとは、ウェブサイトやランディングページを訪れたユーザーが、スクロールせずに最初に目にする画面のことです。Webサイトの「顔」とも言える部分で、ユーザーの興味を引き、サイトの目的を理解させ、さらなる行動を促す役割を担います。 ※6:ヘッドラインとは、記事や広告などの冒頭に置かれる、最も目立つ見出しのことです。ユーザーの興味を引き、コンテンツの内容を端的に伝える役割があります。ウェブサイトにおいては、ファーストビューに表示されるタイトルやキャッチコピーがヘッドラインに相当します。 ※7:EFOとは、Entry Form Optimization(エントリーフォーム最適化)の略で、Webサイトの入力フォームを使いやすく改善することで、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率を高める施策のことです。関連記事:最新EFOツール徹底比較!タイプ×強みで選ぶ最適解2.LPOを依頼する前に押さえておくべき基礎知識 2-1.LPOとSEO・広告運用との違い LPO、SEO、広告運用は、いずれもWebマーケティングの重要な施策ですが、それぞれ異なる目的と手法を持っています。これらの違いを正しく理解することで、より効果的なマーケティング戦略を構築できます。 SEO(Search Engine Optimization)は、検索エンジンでの上位表示を目的とした施策です。主にコンテンツの質の向上、キーワード最適化、内部リンク構造の改善などを通じて、オーガニック検索*⁸からの流入を増やすことを目指します。広告運用は、Google広告やFacebook広告などの有料広告を活用して即座に流入数を獲得する施策です。 一方、LPOは既に獲得したトラフィックを最大限活用するための施策です。SEOや広告運用によって集めた訪問者を、より高い確率でコンバージョンに導くことを目的としています。つまり、「量(トラフィック)を質(コンバージョン)に変換する」役割を担っているのです。 ※8:オーガニック検索とは、検索エンジンの検索結果ページに表示される広告以外の自然な検索結果のことです。 関連記事:LPOとSEOの違いを分かりやすく解説!成果を最大化するための使い分けガイド 2-2.LPOの施策例と成果の測り方 LPOの具体的な施策は多岐にわたりますが、代表的なものをご紹介します。 ヘッドライン・キャッチコピーの最適化では、ユーザーの注意を引く文言や価値提案の見直しを行います。A/Bテストを実施し、クリック率や滞在時間、CVRの変化を測定することで効果を検証します。 CTA(Call To Action)ボタン*⁹の最適化は、LPOにおいて最も効果が現れやすい施策の一つです。ボタンの色、サイズ、文言、配置を変更し、クリック率の向上を図ります。「申し込む」から「無料で始める」に変更するだけで、クリック率が20%向上した事例もあります。 成果測定においては、複数のKPIを組み合わせた総合的な評価が重要です。CVRの向上だけでなく、滞在時間の延長、直帰率の低下、ページビュー数の増加なども含めて効果を判断します。 ※9: CTAボタンとは、WebサイトやWeb広告などで、ユーザーに特定の行動を促すためのボタンのことです。CTAは「Call To Action(コール・トゥ・アクション)」の略で、「行動喚起」を意味します。例えば、「資料請求はこちら」「購入はこちら」といったボタンがCTAボタンにあたります。 2-3.自社でやる?外注する?選択基準の考え方 LPOを自社で実施するか外注するかの判断は、リソース、専門性、スピード、コストの4つの観点から検討する必要があります。 自社実施のメリットとして、外部への支払いが不要であることや、社内にノウハウが蓄積されることが挙げられます。しかし、専門知識を持つ人材の確保、分析ツールの導入・運用、継続的な学習コストなどを考慮する必要があります。 外注のメリットは、専門的な知識と豊富な経験を即座に活用できることです。LPOの専門会社は、業界を問わず数多くの改善事例を持っており、効果が実証された施策を効率的に実行できます。 選択基準としては、まず社内のリソース状況を評価します。次に、改善の緊急度を考慮します。早急にCVRを改善する必要がある場合は、外注による即効性を重視すべきでしょう。 3.LPO会社の選び方 3-1.評価すべき3つのポイント(実績・専門性・対応範囲) LPO会社選定において重要な3つの評価ポイントを詳しく解説します。 実績の評価では、単純な案件数だけでなく、具体的な改善数値と継続性を重視しましょう。「CVRを2倍に向上させた」という表現よりも、「CVR0.8%から2.1%に改善し、6ヶ月間その水準を維持している」といった具体的で持続的な成果を示している会社が信頼できます。 専門性の評価においては、認定資格や技術力の深さを確認します。Google Analytics認定資格、Google広告認定資格、各種LPOツールの認定資格を保有しているかは一つの指標となります。さらに重要なのは、データ分析力と仮説構築力です。 対応範囲の評価では、LPOだけでなく関連する施策を包括的にサポートできるかを確認します。ランディングページの制作から改善まで一貫して対応できる会社は、統一感のある施策を実行できる利点があります。 3-2.LPOコンサルティングの費用相場 LPOコンサルティングの費用は、サービス内容、契約期間、会社規模によって大きく変動します。 初期設定・分析フェーズでは、現状分析、競合調査、改善計画の策定などを行います。この段階の費用相場は10万円〜50万円程度です。 月額コンサルティング費用は、月額5万円〜30万円が一般的な相場となっています。基本的な分析レポート提供とアドバイスのみの場合は下限に近く、継続的な改善施策の実行、A/Bテストの設計・実施、詳細な効果測定まで含む場合は上限に近い金額になります。 費用対効果を評価する際は、投資回収期間を計算することが重要です。一般的に、LPOによる改善効果は投資額の3〜5倍のリターンが期待できるとされています。 3-3.UI/UX視点での提案力があるかを見極める方法 UI/UX視点での提案力を見極めるためには、具体的な質問と事例確認が効果的です。 まず、ユーザビリティテストの実施経験について確認しましょう。実際のユーザーを対象とした使いやすさの検証を行っているかは、UI/UX改善の本質を理解しているかの重要な指標です。 データドリブンなUI/UX改善ができるかも見極めポイントです。ヒートマップ、ユーザー録画、アイトラッキング*¹⁰などの分析ツールを活用し、「なぜその要素を改善するのか」を定量的なデータで説明できる会社は信頼性が高いです。 ※10:アイトラッキングとは、人の視線の動きを追跡・分析する技術のことです。 関連記事:ユーザビリティテストの費用相場はどのくらい?内訳や効果などを解説4.【タイプ別】おすすめのLPOコンサルティング会社15選 4-1.LPOのノウハウが豊富な会社-UI/UXを改善し成果を出す総合支援型- ①Kaizen Platform(KAIZEN UX) Kaizen Platformは、グロースハックとUI/UX改善分野において圧倒的な実績を誇る業界のリーディングカンパニーです。累計8,000社以上の支援実績を持ち、専門的な人材ネットワークとデータドリブンなアプローチの組み合わせが最大の強みです。 ②ラヴィゴット(Ravigote)ラヴィゴットは、UI/UXデザインとマーケティング戦略の統合に特化したコンサルティング会社です。デザイン会社としての美的センスと、マーケティング会社としての戦略的思考を両立させることで、見た目の良さと成果の両方を実現します。 ③StockSun(ストックサン)StockSunは、データサイエンスとマーケティングの融合により、科学的根拠に基づいたLPOサービスを提供します。機械学習やAI技術を活用した分析により、従来の手法では発見できない改善ポイントを特定することができます。 4-2.費用を抑えて始められる会社-低コストでLPO施策を試したい企業向け ④JAJAAANJAJAAANは、中小企業やスタートアップ向けの手頃な価格設定でLPOサービスを提供します。月額5万円からという業界最安値クラスの設定で、初めてLPOに取り組む企業でも安心して始められます。 ⑤ラベンダーマーケティングラベンダーマーケティングは、シンプルで分かりやすいサービスを重視し、複雑な分析手法や専門用語を使わず、クライアント企業の担当者が理解しやすい形でLPO支援を行います。 ⑥ニュートラルワークス ニュートラルワークスは、実践的なアプローチを重視し、理論よりも実際の成果にフォーカスした支援を提供します。中小企業での豊富な実績により、限られた予算内で最大限の効果を実現します。 4-3.ツールと連携して改善できる会社-ABテストや解析ツールを活かしたLPO支援 ⑦DLPO株式会社 DLPO株式会社は、高度な分析ツールとの連携に特化した会社です。複数のテストツールを組み合わせることで、より精度の高い検証と改善を実現します。 ⑧SHIFT(VWO)SHIFTは、Visual Website Optimizer(VWO)の正規代理店として、世界標準のA/Bテストツールを活用したLPO支援を提供します。グローバルスタンダードの手法により、確実な成果を追求します。 ⑨ポストスケイプ(CVX)ポストスケイプは、独自開発のCVXツールを活用し、リアルタイムでのテスト結果確認と迅速な改善サイクルを実現します。技術力の高さが評価されています。 4-4.広告運用もまとめて依頼できる会社-CV最大化を目指す一気通貫支援型- ⑩デジタルアスリート デジタルアスリートは、広告運用からLPOまで一貫したサービスを提供し、広告費の最適化とコンバージョン率の向上を同時に実現します。 ⑪グラッドキューブ(SiTest)グラッドキューブは、SiTestを活用した詳細な分析により、広告からランディングページまでの全体最適化を図ります。 ⑫STSデジタルSTSデジタルは、パフォーマンスマーケティング全般に対応し、ROI最大化を目指した統合的な支援を提供します。 4-5.業界特化で成果に強い会社-ジャンルに特化したLPO支援- ⑬ディー・スタイルクリエイトディー・スタイルクリエイトは、BtoB企業向けに特化したLPO支援により、複雑な意思決定プロセスに対応した最適化を実現します。 ⑭PULL-NETPULL-NETは、EC・通販業界に特化し、業界特有のユーザー行動を熟知した改善提案を行います。 ⑮クロストライフクロストライフは、不動産・金融業界での豊富な実績により、高額商材特有の課題に対応したLPO支援を提供します。 5.LPO会社に依頼するときの流れと注意点 5-1.ヒアリングから改善提案までの基本プロセス LPO会社への依頼は、通常以下のプロセスで進行します。 初期ヒアリングでは、現在の課題、目標、予算、スケジュールなどを詳細に共有します。この段階で、具体的な数値目標と期限を明確にすることが重要です。 現状分析フェーズでは、既存のランディングページの詳細な分析を行います。アクセス解析、ヒートマップ分析、競合調査などを通じて、改善すべきポイントを特定します。 改善提案・計画策定では、分析結果に基づいた具体的な改善案とスケジュールが提示されます。提案内容の根拠と期待効果を十分に確認し、社内での合意形成を図ります。 5-2.「任せきり」にしないための社内準備と関わり方 LPO会社への依頼において、「任せきり」にしない適切な関わり方が成功の鍵となります。 まず、社内体制の整備が重要です。LPO会社との窓口となる担当者の選任、意思決定者との連携体制、関連部署との情報共有ルールなどを明確にしておきます。 定期的な進捗確認により、改善施策の状況を把握し、必要に応じて軌道修正を行います。週次または月次での定例会議を設定し、数値の変化や新たな課題について共有します。 最も重要なのは、自社商品・サービスの深い理解を共有することです。LPO会社は最適化の専門家ですが、商品の特徴やターゲット顧客の詳細については、社内の知見が不可欠です。 6.まとめ LPOコンサルティング会社の選択は、実績、専門性、対応範囲の3つのポイントを軸に、自社の目的と予算に合わせて行うことが重要です。単なる技術的な改善にとどまらず、ユーザーの行動心理を理解し、データに基づいた継続的な最適化を実現できるパートナーを選ぶことで、UI/UX改善の成果を最大化できます。 成功するLPOプロジェクトでは、外部の専門知識と社内の商品理解を組み合わせた協働が不可欠です。適切な会社選びと効果的な関わり方により、ランディングページの真の価値を引き出し、ビジネス成果の向上を実現してください。