自社のサイトやアプリのUI/UXを改善しようとする時に「どこから手をつければ良いのか」「どんな手法を使えば良いのか」と迷うことはありませんか。多くの場面で、ユーザーの利用状況や満足度を把握するためにアンケートやアクセス解析などの数値情報が重視されますが、それだけでは本当の課題を見落とすリスクがあります。実は、数値で見るデータと、ユーザー心理や利用シーンの背景を探るデータには、それぞれ得意分野と限界があります。そこで、定量調査と定性調査という2種類のリサーチ手法を場面に応じて使い分ける、もしくは組み合わせて活用することが、より効果的なUI/UX改善に繋がります。本記事では、定量調査と定性調査の違いや有効な活用法を分かりやすく解説します。本記事を通して、両手法をバランスよく取り入れ、ユーザー満足度を高めるための具体的なヒントを得ていただけますと幸いです。 1. 二種類のリサーチ方法|定量調査と定性調査 ビジネスの現場やUI/UXの改善プロセスにおいて、リサーチは欠かせない要素です。中でも定量調査と定性調査という2種類のアプローチは、それぞれ異なる視点からユーザーを理解するための強力な手段になります。定量調査は数値データを収集・分析することで全体的な傾向や施策の効果を測定しやすい反面、データの背景にある「なぜそうなるのか」を探るには限界があります。一方で、定性調査は少人数を深く掘り下げてユーザーの生の声や行動を把握できる反面、全体の大きな動向を判断する材料としては不十分な場合があります。 たとえば、Webサイトの離脱率が高いページをアクセス解析で突き止めることは可能でも、その理由が「操作が難しい」なのか「デザインがわかりにくい」なのか「欲しい情報が見つからない」なのか、果たして離脱原因が何なのかまでを数値だけで特定することは困難です。逆に、ユーザーインタビューや行動観察で「ログイン画面のデザインが複雑で戸惑う」という具体的な声を得たとしても、それがどの程度のユーザーに共通する問題かは、全体を対象とした定量調査無しでは判断しづらいです。 このように定量調査と定性調査は、それぞれが示す情報に違いがあり、互いが示すことができない情報を補完し合う関係にあります。双方を活用することで、数字としての説得力や施策効果の可視化だけでなく、数字の背後にあるユーザー心理や利用シーンの背景まで見えてくるようになります。 関連記事:【前編】定性調査と定量調査でUI/UX改善を成功に導く方法2. 定量調査とは 2-1.定量調査の目的 定量調査とは、ユーザー数や閲覧数、コンバージョン率などの数値データをもとに分析を行う調査手法です。 目的は大きく分けて二つあります。一つ目は、サイトやアプリの利用状況を客観的に把握することです。「どのページの閲覧が多いか」「どの時点でユーザーが離脱しやすいか」などを知ることで、課題箇所を全体的に把握しやすくなります。二つ目は、施策の効果測定に活用できる点です。例えば、UIを変更した後のコンバージョン率や滞在時間、直帰率などを追跡すれば、その改善策が成果を上げているかどうかを数値で比較できます。数値として改善度合を示すことは、社内での合意形成や追加の予算確保にもつながるため、ビジネスの観点からは非常に重要です。 つまり、定量調査は「どの程度のユーザーが、どのように行動しているのか」を明確に示す手段です。ボタンのクリック率やページの離脱率が数値化されるので、優先的に対処すべきポイントを見つけやすくなります。これは、UI/UXの課題を抽出し、改善の優先度を決める際に役立ちます。 2-2.定量調査の手法 定量調査にはいくつか代表的な手法があります。 まず挙げられるのがアンケート調査です。オンライン調査・オフライン調査のいずれでも、多数の回答者から定型化された質問に対する回答を得ることで、利用頻度や満足度などを数値的に捉えることができます。客観的な統計分析を行うために十分なサンプル数を集めることで、説得力のあるデータが得られます。 次に、アクセス解析の実施が重要です。Google Analyticsなどのツールを用いて、サイト訪問者のページビュー数、滞在時間、離脱率、デバイス別のアクセス状況などを把握します。アプリの場合はログデータを活用してユーザーの操作履歴を分析し、どこでエラーが多発しているか、どの機能の利用率が高いかを確認できます。 また、A/Bテストも定量調査の一種です。A案とB案で異なるデザインや文章を用意し、それぞれのユーザー行動を比較することで、より成果が出るパターンを選ぶことができます。クリック率やコンバージョン率といった指標で客観的に比較できるため、最終的なUIの意思決定をする上で非常に有用です。こうした定量調査の手法を活用すれば、ユーザーがどのようにサービスを利用しているのかを幅広い視点で把握しやすくなります。 2-3.定量調査のメリット 定量調査の大きなメリットは、何よりも客観性と再現性にあります。数値データを示すことで、主観的な意見に左右されにくく、組織内での意思決定がスムーズに進みやすくなります。例えば、「離脱率が50%から30%に減った」という具体的な変化を数字で示せば、改善策の効果を誰にでもわかりやすく伝えられます。 また、多数のサンプルを扱う点も大きなメリットです。オンラインアンケートやアクセス解析を活用すれば、数百~数千、場合によっては数万単位のユーザー行動データを集めることができるため、統計的に有意な結論を導きやすくなります。特定のユーザー層だけでなく、幅広い層の行動傾向を捉えるのに適しています。 さらに、時系列での変化を捉えやすい点も魅力です。前月や前期との比較を行ったり、キャンペーン実施期間との違いを調べたりすることで、戦略や施策の成果を定点観測できます。長期的なUI/UX改善の取り組みを行ううえで、定量調査は欠かせない存在といえます。 2-4.定量調査のデメリット・注意点 一方で、定量調査にはいくつか注意すべき点があります。まず、数値データだけでは「なぜそうなっているのか」を深く知ることが難しいというデメリットがあります。あるページの離脱率が高いという事実を突き止めること自体は可能ですが、その原因がデザインの分かりにくさなのか、コンテンツの内容不足なのか、あるいは別の要因なのかまでは定量データだけでははっきりしないことが多いです。 また、アンケート調査では設問や選択肢の作り方によって、回答が偏りやすくなるリスクがあります。質問内容が曖昧だと、回答者それぞれの解釈がバラバラになり、集計結果の意味合いが不明瞭になります。さらに、サンプルが偏った層に集中している場合(例えば、ある年代だけが極端に多い場合)は、結果を鵜呑みにすることで誤った方向に進んでしまう恐れがあります。 そして、A/Bテストなどでは検証期間とサンプル数の確保が重要になります。あまりに短い期間でテストを切り上げたり、サンプル数が少なかったりすると、結果に偶然の要素が混ざりやすくなります。定量調査を行う際には、数字の背後にある要因を見抜く力と、サンプル数や設計の妥当性をしっかり確保する必要があります。 3. 定性調査とは 3-1.定性調査の目的 定性調査とは、ユーザーの生の声や実際の操作行動を掘り下げて、心理や背景を理解するための調査手法です。定量調査が「多くの人がどんな行動を取るか」を明らかにするのに対し、定性調査は「なぜその行動を取るのか」を徹底的に探ることに主眼があります。具体的には、ユーザーがサービスを使っているときに感じる不便さや、期待しているのに実現できていない要望などを聞き出し、新たな気づきや課題を発見するのが目的です。数字では示されにくい感情的な面や、利用するシチュエーション上の困りごとを把握することで、よりユーザーに寄り添った改善策を導き出せます。 また、新機能のアイデアを検討したり、現状把握では分からない潜在的なニーズを探ったりする際にも定性調査が役立ちます。ユーザーが言葉にしづらい困りごとを引き出し、サービスに求める本質的な価値を浮かび上がらせることができるため、競合他社にはない独自の切り口を見つけやすくなる利点があります。 3-2.定性調査の手法 定性調査にも、いくつか有効な手法が存在します。 代表的なのはデプスインタビュー等のインタビュー調査です。個別にユーザーへインタビューし、使い方の背景や改善点の要望について深掘りします。質問内容はあらかじめ用意しますが、その場の回答に合わせて柔軟に切り口を変えてヒアリングします。想定外の課題が浮かび上がる場合が場合もあります。 次に、グループインタビュー(グループディスカッション)があります。複数のユーザーを一度に集め、特定のトピックについて自由に意見を出してもらう方法です。他参加者の発言に刺激されて、「自分も同じように感じていた」という気づきや、新たな視点が出てくる可能性が高まります。 また、行動観察調査(エスノグラフィ)やユーザビリティテストも重要です。実際にサイトやアプリを操作している様子を観察し、どの画面で躓いているか、何か不安や戸惑いを感じている瞬間が無いかを確認します。ユーザーの口頭説明とあわせて行動を観察することで、ユーザー自身も自覚していない使いづらさや心理的ハードルに気づくことがあります。こうした調査手法は、数字だけでは分からないインサイトをもたらします。 関連記事:デプスインタビューのメリット・デメリットを徹底解説!3-3.定性調査のメリット 定性調査の最大のメリットは、ユーザーの本音や利用文脈の「なぜ?」を詳細に把握できることです。定量調査では「離脱率が高い」という結果は分かっても、実際のユーザーが「ボタンの配置が分かりにくいから離脱した」いった具体的な不満や背景事情は分かりません。しかし定性調査によって、ユーザーがどこに疑問を感じ、どのようにサービスを利用しているかが生々しく明らかになります。 さらに、想定外の発見が得られる可能性が高いのも大きな特徴です。調査設計者が事前に用意していない視点を、ユーザーが話し出すことで、新しいアイデアや課題が見えてくることがあります。特に、新サービスのコンセプト設計や、既存サービスの抜本的な改善を検討する際には大きなヒントになります。 加えて、定量調査で得られた結果について「なぜその数字が出たのか」を補足する役割も果たします。たとえばアクセス解析で特定の画面で離脱が多いという情報を得ていた場合、その画面を使っているユーザーのインタビューや観察を通じて、具体的な障害や不満がどこにあるのかを突き止めることができます。このように、定量と定性の双方を組み合わせることで、UI/UX改善の精度が一段と高まります。 3-4.定性調査のデメリット・注意点 深い洞察を得やすい定性調査にも、いくつかのデメリットや注意点は存在します。 まず、対象となるサンプル数が少数になりがちです。個別インタビューやグループディスカッションでは、多くても数十人程度になることが多く、全ユーザーを代表する統計的な数値としては取扱いづらいです。そのため、調査結果をそのまま全体の傾向として捉えるのは早計な場合もあります。 また、調査者のバイアスが入りやすい点も注意が必要であり、インタビューを専門的に行うプロが調査を進行することが望ましいです。質問の仕方や受け答えのリアクションによっては、回答者が話す内容が変化してしまう可能性があります。特に、調査対象者が調査者に気を遣って、「本当は使いづらいが、あまり悪いことは言いにくい」といった心理が働くこともあります。そのため、インタビューに精通したインタビュアーが進め方や雰囲気作りを上手に行えるか否かが調査結果に大きく左右します。 4. 定量調査と定性調査の違い・使い分け 4-1.調査目的の違い 定量調査と定性調査の最も大きな違いは、「何を明らかにしたいか」という調査目的にあります。定量調査は、利用状況や効果測定のように数値で示される全体像や傾向を把握することに向いています。どの機能がどのくらい使われているか、どのページが最も閲覧されているか、施策後にコンバージョン率がどう変化したかなど、ビジネス上の成果指標を数値化するのに便利です。 一方、定性調査はユーザーの心の動きや利用背景を深く理解することが目的です。なぜそのページでユーザーが悩んでしまうのか、どのようなシチュエーションでサービスを活用しているのか、どんな感情が離脱や継続利用に影響しているのかなど、数字では捉えきれない部分にフォーカスします。 したがって、調査を始める前に「どんな情報が必要なのか」を明確にすることが不可欠です。全体のユーザー傾向を掴みたいのか、あるいは行動の理由を深堀りしたいのか。目的に応じて手法を使い分けることが重要です。 4-2.データの性質の違い 定量調査が扱うデータは、アンケート回答結果やアクセス数、売上金額などの数値データです。これらは比較や集計がしやすく、統計学的な手法を用いることで全体の傾向や有意差を判断できるという特徴があります。しかし、数字だけではその背景のストーリーまでは把握できません。 これに対し、定性調査が扱うのは、インタビューで得られるユーザーの発言や観察結果といった質的データです。発言内容や行動の様子を詳細に読み解く必要があるため、定型的な集計は難しいですが、ユーザーがどのような状況で何を感じ、どのような行動を取るのかを詳細に理解できるメリットがあります。 つまり、定量調査は「広く浅く」大きな母集団を対象とし、定性調査は「狭く深く」個別の体験や心理を掘り下げるアプローチといえます。データの性質を正しく理解することで、それぞれを最適な形で活かせるようになります。 4-3.調査目的に応じた使い分け 調査目的によって、定量調査を選ぶ場合と定性調査を選ぶ場合があります。たとえば、施策の効果測定や全体の傾向把握、どの施策を優先すべきかの判断材料を得るときは、定量調査が強力な武器になります。具体的には、アクセス解析で離脱率をチェックしたり、アンケートでユーザー満足度を数値化したりする方法です。 一方、具体的なUIの使いにくさやユーザー心理の分析、新サービスのアイデア出しなどには定性調査が適しています。インタビューや観察を通じて、どんな場面で躓きがあるか、どんな気持ちで操作しているかを直接確認し、言葉として引き出すことで、数字だけでは見えにくい課題を浮き彫りにできます。 ただし、必ずしもどちらか一方だけを使う必要はありません。たとえば、まず定量調査で問題のあるページや機能を特定し、その後に定性調査でその原因を深く探るといった流れもよく用いられます。あるいは、新しい仮説をインタビューから得たら、それをアンケートで大規模に検証するというアプローチもあります。 4-4.使い分け例 ①離脱率の高いページを改善したい場合 a. まず定量調査(アクセス解析)でどのページの離脱率が高いのかを洗い出し、具体的な数値を把握します。 b. 次に、そのページを実際に操作してもらいながらインタビューを行い、なぜ離脱率が高いのかを深堀りします。 c. 最後に、インタビューで得た改善案を新デザインに反映し、再度定量調査(A/Bテストなど)で効果を測定します。 ② 新機能のアイデアを生み出す場合 a. まず定性調査(インタビューやグループディスカッション)を行い、ユーザーが感じている課題や理想像を探ります。 b. そこで得たアイデアのうち、有望そうなものをピックアップし、オンラインアンケートなどの定量調査でニーズが高そうかどうかを検証します。 c. ニーズが高いとわかった機能を具体的に開発し、ベータ版の利用状況や満足度を定量データで再度測定します。③既存サービスの満足度向上に取り組む場合 a. 定期的なアンケート(定量調査)で満足度スコアや不満点を数値で把握し、どの要素が特に不満を集めているかを明らかにします。 b. 不満が多い機能や画面を中心に、インタビューや観察調査(定性調査)を行い、ユーザーが具体的にどこで困っているのかを詳細に確認します。 c. 改善案を実施した後は、再度定量調査で満足度や利用頻度などの変化を測り、施策の有効性を検証します。 5. 組み合わせで効果を高める 5-1.ハイブリッド調査のメリット 定量調査と定性調査を組み合わせる「ハイブリッド調査」は、互いの強みを活かし、弱みを補完する最良のアプローチといえます。定量調査で全体像や数値の動きを把握し、どこに問題があるのかを特定した上で、定性調査でその問題の背景やユーザーの気持ちを深堀りすると、何をどう改善すればよいかが具体的になります。 また、定性調査で得た仮説を定量調査で検証することにより、「実際に多くのユーザーが同じ課題を抱えているのか」「アイデアにどの程度のニーズがあるのか」を統計的に裏付けることができます。この二段構えの調査手法は、思いつきや一部ユーザーの声だけに惑わされることなく、より根拠のある改善策を導き出しやすくなります。 さらに、社内外への説得材料としても優秀です。定量データによる視覚的なグラフや数字と、定性調査で集めたユーザーの生の声や具体的な行動記録を組み合わせることで、関係者の理解と納得を得やすくなります。これにより、意思決定から施策実行までの流れがスムーズになります。 5-2.組み合わせる際のポイント ①調査設計を事前にしっかりと行う 定性調査と定量調査をどの順序で行うか、どう連携させるかをあらかじめ決めておくことが重要です。目的やタイミングを明確にしないまま実施すると、集めたデータを有効活用できずに終わる可能性があります。 ②必要十分なサンプル数とバランスを考慮する 定性調査ではサンプル数が小規模に偏りがちなので、代表的なユーザー層が漏れなく含まれているかに注意が必要です。定量調査はサンプル数を大きく取りやすいですが、複雑な設問が多いと回答率が低下する場合があります。目的に応じて設問数や調査対象者を調整しましょう。 ③分析結果を総合的に解釈する 定量データのグラフや数字だけを見ても、「なぜそうなったのか」がわからないままでは施策の方向性を誤ってしまうかもしれません。逆に、定性調査の結果だけに頼りすぎても、全体のニーズを見誤る可能性があります。両方のデータを合わせて考えることで、抜け漏れの少ないインサイトを得ることができます。 ④経営層やチームメンバーとの共有を円滑にする 定量データは客観性が高い半面、ユーザーの具体的な気持ちは伝わりにくい場合があります。一方、定性調査の具体的なエピソードは説得力がありますが、「それが大多数なのか少数なのか」が不明確になりがちです。両者をセットで共有することで、意思決定者や他部門のメンバーに理解と協力を得やすくなります。 5-3.組み合わせ例 事例1.アクセス解析×ユーザビリティテスト a. サイト全体のアクセス解析を行い、離脱率の高いページや滞在時間の短いページを特定する(定量調査)。 b. そのページをユーザーに実際に操作してもらい、どんな部分にストレスを感じるのかを観察し、ヒアリングする(定性調査)。 c. 改善点が絞り込めたら、デザインを修正し、再度アクセス解析やA/Bテストで効果を定量的にチェックする。 事例2.アンケート×インタビュー a. まずオンラインアンケートを実施し、サービス全体の満足度や利用状況を数字で把握する(定量調査)。 b. アンケート結果で満足度が低かった項目について、重点的に個別インタビューやグループディスカッションを行い、具体的な不満の原因や背景を探る(定性調査)。 c. 不満点に対する改善策を検討して実装し、再びアンケートを行って満足度や利用状況がどう変化したかを数値で検証する。 事例3.アイデア検証×ベータテスト a. 新サービスや新機能のアイデア段階では、ユーザーインタビューを通じて潜在的なニーズや使い方のイメージを探る(定性調査)。 b. 具体的なプロトタイプを作り、β版として一部ユーザーに公開し、利用データを取得する(定量調査)。 c. 数字とユーザーの声の両面から、「どの機能が好評か」「想定外の使われ方はないか」を確認し、正式リリースの前にブラッシュアップする。 6. まとめ 定量調査と定性調査は、一見すると対照的なアプローチに見えますが、UI/UX改善を進める上ではどちらも不可欠です。定量調査は全体の傾向や施策効果を客観的な数値として示すのに優れており、定性調査はユーザーの心理や行動の背景にあるリアルな声を掘り起こすのに役立ちます。 数字だけでは見えてこない感情の部分を補完するためには定性調査が必要ですし、逆に定性で得た仮説を裏づけるには定量的な検証が欠かせません。両手法を上手に組み合わせることで、問題点の発見から解決策の立案、施策の効果測定までをより精度高く、かつユーザー視点を忘れずに進められます。 自社のサイトやアプリのUI/UXに課題を感じている方は、まずは「何を知りたいのか」「どう活かしたいのか」という目的を明確にし、必要に応じて定量調査と定性調査の使い分けを検討してみてください。調査結果を丁寧に分析し、チーム全体で共有しながら、継続的に改善を重ねることで、ユーザーにとって価値あるサービスへと近づいていくはずです。